2013年08月11日

東京地検特捜部には大学の研究費不正事件を取り扱う技量も資格もない

捏造・虚偽報告で信用を失墜した東京地検特捜部が、科学研究費の不正使用事件を取り扱い始めた。昨年に京大教授を逮捕、今年は東大教授を逮捕したが、特捜部にこれら案件を扱う資格はないだろう。

私は分野が異なるので、特捜部に逮捕されたどちらの教授のことも知らない。それゆえにマスコミの報道しか頼るところがないが、これが信用できないことは小沢事件などであまりに明瞭。一方、科学研究費の仕組みは複雑で、大学および文科省/厚生省などの専門家が任にあたるべき。特捜部に何がわかるのか。

私が京大医学部の学生だった90年代に、京大病院の医師が治験がらみで京都地検に強制捜査された。当時マスコミはこの医師の中傷を繰り返したが、事実とあまりに乖離していたため、地検も本件を起訴できず。病院の慣習や規則に全く無知な地検が、無意味な捜査で病院現場を大混乱させた失態であった。

今回の科学研究費不正使用の報道は事件の悪質性を強調しているが、つまりこれらの案件が逮捕・起訴するほどのものかどうかは、程度の差で決まることを意味。このような微妙な案件では、特捜部の取り調べが完全に可視化されない限り検察発表に信憑性はない。

なぜ全国の大学、研究者は、特捜部が研究に介入しだしたこの事態で黙っているのか。特捜部が、政治で失墜した権威を、科学者を標的にして取り繕うとしているならばこれは許されることではない。かつて産婦人科医療が警察の介入を許して危機に瀕したように、科学研究も司法権力の介入で崩壊しかねない。

京大の山中教授が自らマラソンをしてまで研究費を募った理由は、研究費の額の不足ではなく、公的な研究費の使途が狭く限定され過ぎており研究室の運営が困難だったからと伝え聞く。実際日本の研究費は無意味な規則が多く、そのために現場に過剰な書類仕事を増やし、研究の自由を奪っている可能性がある。

このように研究費の使用法が複雑である以上、不正使用の問題は、特捜部ではなく、大学学内、あるいは大学と文科省・厚生省など関係機関で扱うべきだ。そのうえで悪質な案件を各地の検察にあげればよいだろう。少なくとも東京地検特捜部による捜査の必要性が全く感じられない。
posted by 小野昌弘 at 18:43 | TrackBack(0) | 科学・研究 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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