同じように、イギリスにとっても最も大きな存在はアメリカです。そして、アメリカとイギリスの関係は「特別な関係」(special relationship)とよく言われます。この意味では、日本の状況はそれほど特殊ではないのだと思います。
ただし、イギリスには日本とは違う重要な点があります。それは、この「特別な関係」はイギリスにとってはアメリカ一国だが、アメリカはたくさんの国を相手に「特別な関係」を持っていることが広く実感をもって理解されている、ということです。
英新聞Guardian紙は、この英米関係を、女たらしの誠実な妻(the faithful spouse of a philanderer)と呼んでいました。「特別な関係」はかつてはポジティブなニュアンスだったようですが、この表現に見られるように、「特別な関係」は今やイギリス国民にとって不愉快なニュアンスを帯びるようになっているようです。
7月のことになりますが、新しく首相に選ばれたキャメロンが、オバマと初会談した際に、イギリスのことを、アメリカの弟分(junior partner)と発言し、波紋を呼びました。
イギリス国民にとって、現状の英米関係でイギリスが「弟分」であることは、(大変悔しいが)認めざるをえないところのようです。しかし、それをイギリスの首相がわざわざアメリカの大統領に会いに行って言明するということになると、意味が違ってきます。
さらに悪いことに、キャメロンは、1940年においてもイギリスはアメリカの弟分として行動していた、と言ったそうです。しかしイギリス人にとっては、その当時は(まだ)大英帝国として世界大戦の中心にいた時代です。具体的には、当時イギリスがドイツ軍を相手に防衛線を張っていたにもかかわらず、アメリカは参戦すらしていなかったのですから、弟分呼ばわりされるいわれはない、という論理になります。
総じたところは、認めたくない本当のことを自分たちのリーダーに卑屈な形でいわれたことが、イギリス人にとっては屈辱だったのだ、と見ています。
(2010年9月12日 小野昌弘@masahironoつぶやきより, http://twitter.com/masahirono)

